「地下室のメロディー」映画レビュー “これがほんとの水の泡”

2021☆Brand new Movies

評価: 6点

Story

アラン・ドロン、ジャン・ギャバンの2大スターが共演したクライム映画。老ギャングのシャルルは青年のフランシスとカジノの地下金庫から大金を強奪しようと綿密な計画を立てる。しかし、予想外の出来事が起こり……。 Filmarksより

 

Review

ロートルと青二才の悪党がコンビを組んで、或る犯罪計画に挑む。
今作の後に製作された多くのケイパー映画(強盗映画)で、同様のプロットが幾度も用いられてきたことからも、公開当時この映画がとてもセンセーショナルだったのだろうなということは充分に感じられる。

基本プロットのみならず、エレベーターの天井裏に潜むサスペンスだったり、エアダクトからの侵入のスリリングさだったり、後世の様々なサスペンス映画やアクション映画で登用され続けているアイデアの数々が印象的だった。

また久しぶりに古いフランス映画を観たけれど、この国の映画表現の手法や感覚は、日本映画のそれととても近しいものを感じた。
冒頭の老犯罪者とその妻のぬったりとしたやり取りや、良くも悪くもある鈍重なストーリーテリングなど、特に古い日本映画とは空気感的な類似性を強く感じる。フランスで、日本のアニメや、北野映画が愛される理由が、改めてよく分かる。

60年代の犯罪映画として、とても味わい深い作品だとは思う。
ただ、娯楽映画単体として面白かったかというときっぱりとそうは言い切れない。
やはり、内容のわりにストーリー展開が鈍重に感じてしまったことは否めないし、クライマックスからラストシーンに至る一連の話運びにおいても、唐突で希薄な印象を受けてしまった。

犯罪行為の愚かさと無常さは、印象的なラストシーンによって如実に感じることはできたけれど、全体的にもう少し歯切れよく展開してくれた方が、今作の物語性には合っていたように思える。

主演したジャン・ギャバンとアラン・ドロンは、両者とも流石の存在感を放っていたと思う。
アラン・ドロンは、中々特異な人生経験の上で俳優になり一気に世界的スターになったようで興味深い。
彼の主演映画は「太陽がいっぱい」くらいしか鑑賞していないので、引き続き他の作品も観てみようと思う。

 

Information

タイトル 地下室のメロディー LA MELODIE EN SOUS-SOL ANY NUMBER CAN WIN
製作年 1963年
製作国 フランス
監督
アンリ・ヴェルヌイユ
脚本
アンリ・ヴェルヌイユ
アルベール・シモナン
ミシェル・オーディアール
撮影
ルイ・パージュ
出演
ジャン・ギャバン
アラン・ドロン
ヴィヴィアーヌ・ロマンス
モーリス・ビロー
 ジャン・カルメ
鑑賞環境 インターネット(U-NEXT・字幕)
評価 6点

 

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