「続・男はつらいよ」映画レビュー “こんな時代だからこそ昭和娯楽が心を満たす”

続・男はつらいよ 2021☆Brand new Movies

続・男はつらいよ

評価: 8点

Story

一年ぶりに帰郷した寅さんは、葛飾商業の恩師・坪内散歩(東野英治郎)と、その娘・夏子(佐藤オリエ)と懐かしい再会を果す。酒を酌み交わしたものの、寅さんは胃けいれんを起こし入院してしまう。しかし寅さんは病院を抜け出し、無銭飲食をして警察沙汰となり、さくらは心を痛める。故郷を後にした寅さんは、京都で夏子らと偶然再会し、散歩先生の薦めで、“瞼の母”に会いに行くが… 公式サイトより

第2作 続・男はつらいよ 予告篇
一年ぶりに帰郷した寅さんは、葛飾商業の恩師・坪内散歩(東野英治郎)と、その娘・夏­子(佐藤オリエ)と懐かしい再会を果す。酒を酌み交わしたものの、寅さんは胃けいれん­を起こし入院してしまう。しかし寅さんは病院を抜け出し、無銭飲食をして警察沙汰…more

 

Review

昨年の正月にシリーズ第一作目の「男はつらいよ」を初鑑賞して、一年ぶりに第二作目の今作を鑑賞。
来年以降も、年のはじめに“寅さん”を観ることを恒例化していこうと思っている。

自分自身が今年で40歳になる。
「不惑」という言葉の意味に対して、自分の精神年齢が程遠いことは否めないけれど、それでも人生の機微というものを何となく感じ取れるようにはなってきた。

自分の人生において何が大切で、何がそうではないのか。そういうものがおぼろげながらも見えてきた今、この国民的喜劇映画が描き出す「娯楽性」は、ことほど左様に心を満たす。

渥美清演じる「車寅次郎」というキャラクターはもちろん強烈だけれど、劇中において何か劇的なことが起こることはない。
が、しかし、なんでもないシーンで笑いを生み、なんでもないシーンでしみじみとした感動を生む。
これぞこの国の「喜劇」の真骨頂だろうと思える。

このシリーズ第二作においては、脇を固める豪華俳優陣の存在感も際立っている。
寅次郎の恩師役の東野英治郎は、個人的に幼少期に観ていた「水戸黄門」の印象が強く、あの特徴的な声の響きがとても懐かしかった。
若き山崎努は、30代前半にして既に映画俳優としての稀有な雰囲気を醸し出しており、今作ではヒロインの恋人という「普通」の役柄を演じていることが逆に印象的だった。

そして何と言っても、寅次郎の生き別れの母親役として登場するミヤコ蝶々の存在感が抜群。
数少ない登場シーンの中で、稀代の女漫才師ならではの“しゃべくり”と、この国の喜劇を牽引し続けていたのであろうコメディエンヌとしての表現力が圧倒的だったと思う。

渥美清も、東野英治郎も、ミヤコ蝶々も、既に亡くなって久しい。
けれど、彼らが昭和の時代に生み出した数々のまだ観ぬ「娯楽」を、これからまだまだ堪能できることは幸せなことだと思える。

 

「男はつらいよ」映画レビュー “「同世代」の車寅次郎と共に歳を重ねていくのも悪くない”
映画「男はつらいよ」レビュー・ネタバレ批評・感想

 

Information

タイトル 続・男はつらいよ
製作年 1969年
製作国 日本
監督 山田洋次
脚本 山田洋次
小林俊一
宮崎晃
撮影
高羽哲夫
出演
渥美清
倍賞千恵子
ミヤコ蝶々
佐藤オリエ
山崎努
東野英治郎
三崎千恵子
前田吟
森川信
佐藤蛾次郎
鑑賞環境 インターネット(Netflix)
評価 8点

 

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画像引用:https://www.cinemaclassics.jp/tora-san/movie/2/

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