「映画ドラえもん のび太の新恐竜」映画レビュー “これぞ科学、これぞSF、これぞドラえもん”

のび太の新恐竜2020☆Brand new Movies

のび太の新恐竜

評価: 9点

Story

スネ夫たちと恐竜展を訪れたのび太は、化石発掘体験で恐竜の卵の化石を見つける。「タイムふろしき」をかぶせると、生まれてきたのは双子の羽毛恐竜。それも「宇宙完全大百科」に載っていない新種(新恐竜)であった。のび太は双子の恐竜にキューとミューと名付け、時には恐竜博士のアドバイスを受けつつ、ノビサウルスランド(「飼育用ジオラマセット」)の中でドラえもんと一緒に育てていく。すくすくと成長する二匹は徐々に違いを見せ、軽やかに滑空するミューに対しキューは無様にばたついてしまうため、飛ぶことが出来なかった。そしていよいよジャイアンたちの前でお披露目する日がやってくる。しかし騒ぎに気付いたママから隠そうと「空間移動クレヨン」を使ったことで町の住民たちに目撃されてしまい、キューとミューを現代で育てていくことに限界が来てしまう。仲間の元へ返すことに一度は葛藤するのび太だったが、やがて決意を固めると翌朝いつもの五人揃って「タイムマシン」に乗り込んだ。 Wikipediaより

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』TVCM 大ヒット上映中篇 その1
ドラえもん50周年記念作品! 完全オリジナルストーリーで贈る、 新しい恐竜と、新しいのび太の物語 2020年8月7日(金)公開!! 原作:藤子・F・不二雄 監督:今井一暁 脚本:川村元気 ドラえもん:水田わさび/のび太:大原めぐみ/しずか:かかず ゆみ/ジャイアン:木村 昴/スネ夫:関 智一 ジル:木村拓哉/ナタ...

 

Review

「科学」とは、“未知”なるものを想像し、探求することだと思う。

未だ知らぬモノやコトを追求し続ける学問である以上、導き出されていた事実が、新たな探求によって訂正されたり、覆されたりすることも当然起こり得る。
そういう観点を真摯に踏襲したこの映画は、稀代のSF漫画家が生んだ「ドラえもん」の冠に相応しく、極めて科学的な秀作だったと先ず断言したい。

昨年の春に前作「のび太の月面探査記」のエンドロール後に映し出された次作のインフォメーションを観た時には、正直、「また恐竜か」とは思った。

思わずそう感じてしまうくらいに、ドラえもんファンにとって「恐竜」という題材は王道的だ。
ドラえもん映画の第一作が「のび太の恐竜」であることは言わずもがな、声優陣が一新された新映画シリーズにおいても同作のリメイクである「のび太の恐竜2006」が一作目であったことからも、ドラえもんにおいて「恐竜」という題材が原点であることは明らかだろう。

それ故に、「またか」という新鮮味に欠ける印象を持ってしまったことは否めない。
「無知」を承知で言うと、「新恐竜」というタイトルに対しても、「のび太の恐竜」の更なる新バージョンかとやや懐疑的に捉えてしまっていた。

そして、映画の冒頭、今作はまさに「のび太の恐竜」のプロットを辿るような既視感を、我々オールドファンに与えてくる。無論、疑念や不安は益々増大した……

が、それらはすべて自分の「無知」故の安直な所感であり、製作陣の巧みなミスリードだった。

先ずは「新恐竜」という言葉に対しての己の無知と誤解を恥じたい。
「新恐竜」とは、6500万年前に恐竜が大量絶滅したというかつての定説に異を唱え、一部の種が環境に適応し、鳥類などに進化をして地球上に生き続けたという新たな考察を指す言葉だった。
恐竜が鳥に進化したという説については勿論知っていたが、「新恐竜」というワードを把握していなかったことが、自分の中で誤解に繋がってしまったようだ。

だが、その誤解により、製作陣のミスリードにまんまとハマってしまったことは、今作のエンターテイメント性を堪能する上で、幸福なことだったとも言える。

「のび太の恐竜」のプロットを三度踏襲するようなストーリーテリングと、のび太が育てた恐竜たちとのウェットな描写に対して、少々テンションが落ち始めた頃に、今作は、劇的な転換を見せてくれる。

それはまさしく、“ミッシングリンク”をこの作品が見出した瞬間だった。

「恐竜たちを元の時代に返す」という既視感に溢れた物語が、新しい科学的知見に基づいた「生物の進化」を描き出した壮大な物語に転じる。
のび太が救ったのは、双子の恐竜ではなく、この星の進化そのものだったわけだ。

少年の小さな勇気と優しさが、あまりにも大きな時流を生み出す。
これぞ「科学」、これぞ「SF」、これぞ「ドラえもん」だと思った。

 

F先生が描き出した「のび太の恐竜」が名作であることは勿論揺るがない。
ただ、かの作品が、科学的空想(SF)の物語である以上、科学の進化に伴う事実とされていたことの変遷は不可避だ。
恐竜はもっとカラフルだったかもしれないし、酸素濃度の高い世界で人間は生きられないかもしれない。そして、恐竜は鳥に進化して今も生き続けているのかもしれない。

そういう新しい考察に目を輝かせることこそが、F先生が愛した「SF」の醍醐味であり、「ドラえもん」の世界観だろうと、改めて強く思う。

 

その偉大な原作者に対するリスペクトを根底にしきつつ、新しい時代に相応しい「SF」を導き出した今作の製作陣を称賛したい。
「新恐竜」と題しながらも、あの愛すべき“フタバスズキリュウ”をエモーショナルに登場させてくれた心遣いに、涙が止まらなかったことは言うまでもない。

 

「映画ドラえもん のび太の恐竜2006」<9点>
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Information

タイトル映画ドラえもん のび太の新恐竜
製作年2020年
製作国日本
監督
今井一暁
脚本
川村元気
キャラクターデザイン
小島崇史
声の出演
水田わさび
大原めぐみ
かかずゆみ
木村昴
関智一
木村拓哉
渡辺直美
神木隆之介
鑑賞環境映画館
評価8点

 

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