評価:
9点Story
渡哲也と永瀬正敏が主演のサスペンス・ミステリー。東昭物産の常務が誘拐された。犯人グループは身代金3億円に加え、身代金受け渡しのテレビ中継を要求してきた。犯人に指名された運び人は3億円入りのカバンを抱え、命じられるままに東京中を走り回った末に倒れてしまう。テレビクルーを装った津波警部(渡)が後を引き継ぐが、彼も力尽き、藤刑事(永瀬)が引き継ぐが……。街中での大規模なロケーション撮影を敢行している。 allcinemaより
Review
お盆休みの最中、訃報が飛び込み、渡哲也が亡くなったことを知る。
公の場に姿を現さなくなって久しかったので、それほど驚きということは無かったが、また一人昭和の大俳優が逝ってしまったことが、只々寂しかった。
1981年生まれの僕にとって、最も古い渡哲也の記憶は、やはり「西部警察」だろう。
作品に対する記憶は殆どないけれど、2~3歳の幼児だった僕は、お決まりの大爆発シーンに夢中だったようだ。今になって思えば、それが僕にとっての実写映像作品においての原体験だったのかもしれない。
そして、渡哲也の主演映画で、個人的に真っ先に思い浮かぶのが、この「誘拐」という映画だ。
1997年の公開当時時点においても、この映画の演出や俳優たちの演技はややオールドスタイルにも感じたけれど、それ故に言葉では表現しきれない「重み」みたいなものが映画全編から感じられ、強く印象に残ったことをよく覚えている。
それは、ゴジラ映画をはじめとする特撮映画の得意としていた大河原孝夫監督の特性や、“キャメラマン”界の重鎮・木村大作の剛腕によるところも勿論大きかろう。
が、やはりその最たる要因は、渡哲也という俳優の圧倒的な存在感であり、問答無用の“顔面力”だろう。
今回の訃報に際し、十数年ぶりに本作を見直して、改めてこの俳優の魅力に感じ入った。
そして、そういう顔面で語ることができる俳優がとんと少なくなってしまったことに再度寂しさを感じてしまった。
こんな時代だからこそ、顔面からあふれ出る胆力ですべてを表現する俳優力と漢気には、絶大な魅力と共に喪失感を感じる。
ただし、個人的に救いなのは、渡哲也が俳優として全盛期だった昭和時代の主演作に未見映画が多数あること。
大俳優の死を惜しみつつ、その俳優としての生き様を、これからしっかりと観ていきたいと思う。
Information
タイトル | 誘拐 |
製作年 | 1997年 |
製作国 | 日本 |
監督 | 大河原孝夫 |
脚本 | 森下直 |
撮影 | 木村大作 |
出演 | 渡哲也 |
永瀬正敏 | |
酒井美紀 | |
柄本明 | |
新克利 | |
石濱朗 | |
西沢利明 | |
山本清 | |
磯部勉 | |
木村栄 | |
鑑賞環境 | インターネット(Amazon Prime Video) |
評価 | 9点 |
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