評価:
8点Story
インヒューマンズを操り、元シールドメンバーのウォードの身体に乗り移ったハイヴはリンカーンと共に宇宙に消えた…。シールドを離れテロリストたちの資金源や逃走ルートを潰すために暗躍していたデイジーは、武器商人が得体のしれない男に襲われる場面に遭遇する。彼は何者なのか。そして次々とテロリストを殺す男が、悪魔に魂を売ったゴーストライダーだと知る。一方で新長官を迎えることになったシールドでは組織改革が行われ、メンバーの任務にも変化が訪れていた。そんなある日、ロサンゼルスで殺人事件が発生。犯行を疑われたのはデイジーだった。 Amazonより
「エージェント・オブ・シールド シーズン4」予告編ゴーストライダー、降臨。混沌とする世界に、悪魔に魂を売った男がやって来るマーベルが贈る『アベンジャーズ』のスピンオフ、待望の新シーズン登場!国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.の活躍を描いた『エージェント・オブ・シールド』シリーズ。シー…more
Review
シーズン4のストーリーラインのテーマはズバリ「アンドロイドの叛乱」。
ここにきて、「エージェント・オブ・シールド」は、“マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”のスピンオフドラマシリーズであるという枠組みを飛び越えて、独自のSF展開を見せてくる。
というよりも、本ドラマシリーズの世界観が、本流であるMCUを先行し始めたという捉え方が正しいのかもしれない。
このシーズン4のストーリーラインを経たことで、ドラマシリーズの登場人物たちは、明らかにトニー・スタークをはじめとするアベンジャーズの面々の「経験値」を有に超えている。
文字通り「別次元」の経験値を得たドラマシリーズのシールドのエージェントたちが、“フェーズ4”以降でヒーローたちをリードしていくのではないかという予測は、あながち的外れではないだろうと思える。
なんと言っても、シーズン序盤から登場する“ゴーストライダー”の存在が、ドラマ世界のリアリティラインを大幅に(強引に)引き上げ、新シリーズに相応しい新しい娯楽性を熱量たっぷりに見せてくれる。
“ゴーストライダー”ことロビー・レイエスを演じるのは、「ターミネーター:ニュー・フェイト」でのREV-9役の記憶も新しいガブリエル・ルナ。家族思いの優しい男故に、悪魔との取引に応じ苦悩するダークヒーローを好演していたと思う。
燃える悪魔との共闘が一段落したと思えば、本シーズンの主題である美しすぎるアンドロイド“エイダ”の叛乱へとストーリーは急転していく。
“アンドロイドの進化と叛乱”なんて題材は、SFの中では古典中の古典であり、“エイダ”のビジュアルやキャラクター性も含めてベタすぎるけれど、MCUの芳醇な世界観の中で描き出される物語は、やはりよくできていて「王道」的でありつつも、「斬新」であった。
特に、理想世界を実現するために、敵対するシールドのエージェントたちをバーチャルリアリティのパラレルワールドに引きずり込み、それぞれのキャラクターが抱えている悔恨や苦悩を直接的に攻め、追い詰める展開は、ダークSFの極みであり、いちSFファンとして非常に興味深かった。
その中でも、エージェント・マックが経験する現実と仮想の狭間の葛藤と悲劇は、自分も子を持つ一人の親として他人事とは思えず、心痛で涙が止まらなかった。
ストーリーテイストのSF性が増し、これまでのシリーズの中でも最も娯楽性は高いと言えるが、個々のキャラクターにおける悲哀は深まっていると思う。
敵味方関係なく、それぞれのキャラクターが己の人生において、何かしらのわだかまりや後悔を抱えていて、苦闘している。
この古典SFの系譜上に存在する物語が描いたものは、喪失に伴う人間の脆さと愚かさ、だからこそ光り輝く人間の価値であろう。
善玉であるシールドのエージェントたちはもとより、すべての元凶であるラドクリフ博士(ジョン・ハナー)にしても、念願の末に人間となったアンドロイドのエイダにしても、どの人間にとっても「喪失」は避けられない宿命であり、その反動は慈愛にもなれば暴挙にもなるということ。
そういう人間そのものの普遍的な「業」を描きぬいていることも、このシーズン4が「SF」として白眉な点だったと思う。
新キャラクターのメイス長官(ジェイソン・オマラ)は割と好きなキャラクターだったので、シーズンクライマックス手前で犠牲になってしまったのは悲しかったが、現実世界において、理想の正義を貫き通すことが出来ずに悶々としてた彼にとっては、あの「最期」はまさに“ヒーロー”としての理想の姿だったのかもしれないなとも思う。
Information
タイトル | エージェント・オブ・シールド:シーズン4 MARVEL’S AGENTS OF S.H.I.E.L.D. |
製作年(放映期間) | 2016年〜2017年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ビリー・ギアハート ヴィンセント・ミシアーノ マグヌス・マルタンス |
脚本 | ジェド・ウェドン モーリサ・タンチャローエン ドリュー・Z・グリーンバーグ |
出演 |
クラーク・グレッグ
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クロエ・ベネット | |
ミンナ・ウェン
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イアン・デ・カーステッカー
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エリザベス・ヘンストリッジ
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ヘンリー・シモンズ
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ジョン・ハナー
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ガブリエル・ルナ
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ナタリア・コルドバ=バックリー
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ロレンツォ・ジェームズ・ヘンリー
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マロリー・ジャンセン
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リリー・バードセル
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ジェイソン・オマラ
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ホセ・ズニーガ | |
エイドリアン・パスダー | |
ザック・マッゴーワン | |
パットン・オズワルト | |
ブレット・ダルトン | |
パーミンダ・ナーグラ | |
鑑賞環境 | インターネット(Disny+・字幕) |
評価 | 8点 |
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