シリーズ第5作目にしてようやく「ハリー・ポッター」というエンターテイメントの面白味を味わえるようになった気がする。
この物語は、表面を何重にも“お子様向け”のファンタジーでコーティングした「飴玉」のようなもので、飽きるような甘ったるさを何層も溶かしていくと、やっと深い旨味に到達する。
そしてその旨味に達すると、前の甘さが懐かしく、大切なものだったということに気づかされる。
そんなわけで、物語全体が核心に向けて突き進んでいく5作目で初めて、全編通して鑑賞に堪える面白味を備えた映画作品として仕上がっていると思った。
主人公が、両親の敵(かたき)であり最大の敵であるラスボスに立ち向かっていこうとする様を描いた今作では、そのための礎となる自分自身の確固たる“居場所”と共に闘う“仲間”を見出していく。
そのくだりは極めてベタでストーリー展開として目新しさはないが、シリーズ4作目までの時に回りくどいほどの長い長い物語が伏線となり、ベタさを“王道的”とも言い換えられる説得力を備えていると思う。
世界的人気シリーズの面白味にようやく気づいた反面、やはりこのシリーズは“お子様向け”だと改めて思う。
それは、自分自身がきっちりと“お子様”の頃に、第1作目「賢者の石」を観て、自身の成長と共に各作品を観ていけていたなら、どの作品に対してもその時々に応じた面白味を感じることが出来たであろうと思うからだ。
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 HARRY POTTER AND THE ORDER OF THE PHOENIX」
2007年【米・英】
鑑賞環境:Blu-ray
評価:7点
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