ミステリーにおける“探偵”は、物語の真相を解き明かす先導者であり、同時に犯人を奈落の底に突き落とす“死神”でもあると思う。
謎の解明は、即ち殺人者に対する処刑宣告であり、その様は時に無慈悲で恐ろしい。
そういったミステリーの主人公の“正義漢”と表裏一体の“恐ろしさ”を、今作のミス・マープルからは如実に感じられた。まさに「復讐の女神」という主題にふさわしい。
古き友人の遺言に導かれるようにミステリーツアーに参加するミス・マープル。そこに集まるわけありの人物たち。
アガサ・クリスティー作品の大定番と言える舞台設定の中で、殺人が起こり、過ぎ去った殺人事件の真相が導き出される。
展開は極めて王道的だが、冒頭から感じられる禍々しさがストーリーの全編に溢れ、緊張感を増幅させる。
多くのミステリー作品で見られる顛末と同じく、真相を暴かれた殺人者は自ら命を絶つ。
その定番の展開を見る度に、「みすみす死なすなよ」と思ってきたけれど、もはやそれはミステリーそのものの定石であり、避けられる顛末ではないのだと感じてきた。
ミステリーにおいて、真相を解明する者は、同時に死刑宣告者であり、すべての主人公はその宿命を負っているのだ。
「アガサ・クリスティー ミス・マープル3 復讐の女神 MARPLE: NEMESIS」
2007年【英・米】
鑑賞環境:BS(吹替)
評価:7点
コメント
『ミス・マープル3 復讐の女神』 '07イギリス/アメリカ
”MARPLE: NEMESIS”
[復讐の女神]
先日、NHK BSプレミアムで深夜(なんとも眠たい1:00-2:30)に放映していた『ミス・マープル3 復讐の女神』を観ました。
—–story————-
「A・クリスティー」原作の人気シリーズ、第3シーズンをハイビジョンリマスター版でアンコール放送!
友人が遺言で託した事件調査。
「ミス・マープル」が、謎のツアーに参加する。
「ミス・マープル」は亡くなった友人の遺言として事件の調査依頼を受ける。
だが、事件の説明はなく、渡されたのはミステリー・ツアーのチケットだけだった。
ツアーの参加者は、年の離れた夫婦や修道女、元ドイツ兵士などさまざま。
まず向かった先は古い邸宅で、「マープル」たちは、そこで謎の女性の写真を目にする。
その夜、参加者の一人、「レイバン」が毒殺されるが、「レイバン」は亡くなる前、「ヴェリティ」という女性の名を口にしていた。
———————–
原作は読んだことなかったので愉しみにしていたのすが、、、
ちょっと退屈な展開で、途中、10分?20分ほど居眠りしちゃいました… 肝心なシーンを見落としたようで、動機が理解できず、残念なことになってしまいました。
[復讐の女神]
ということで、その後、色々と調べてみたのですが、、、
時代背景や登場人物等が相当大きな変更されているらしく、原作とは異なるイメージの作品となっているようです。
執筆された順序では、「ミス・マープル」最後の作品になっているようですね。
今度、原作を読んでみたいですね、、、
映像作品は、もういいかな… 美しい英国の景色を愉しませてもらったという意味では、意義のある作品だったかな。
—–staff/cast————-
演出:ニコラス・ウィンディング・レフン
製作総指揮:ミシェル・バック
ダミアン・ティマー
原作:アガサ・クリスティ
出演:
ジェラルディン・マクイーワン ミス・マープル
ロニ・アンコーナ アマンダ
ジョニー・ブリッグズ ラムリー
アマンダ・バートン クロチルド
ジョージ・コール レイバン
グレーム・ガーデン ブロードリブ
リチャード・E・グラント レイモンド
リー・イングルビー ハーズ
ウィル・メラー ワッディ
ローラ・ミシェル・ケリー マーガレット/ベリティ
エイドリアン・ローリンズ ターンブル
アン・リード アグネス
ダン・スティーヴンス マイケル
ルース・ウィルソン ジョージーナ
エミリー・ウーフ ロウィーナ