<ネタバレあり>
「衝撃の結末」を売り文句を謳う映画はとても多い。そして、その売り文句に裏切られることもまたとても多い。
あらゆるアイデアとストーリーが出尽くしている中、肥えに肥えた映画ファンの「眼」を超えることは極めて難しいことだと思う。
今作においても、用意されていた顛末に想像を超える程の“衝撃”があったとはとても言い難い。
ハワイの秘境にて遭遇した3組のカップル。その中の一組に殺人犯が紛れ込んでいるという情報が入り、突如としてサスペンスが渦巻く。
美しい南の楽園における疑心暗鬼に満ちた人間の心理劇は、コントラストが際立ち、舞台設定自体には一定の魅力があったと思う。
ただし、映画の展開は巧くなかった。
最大のウィークポイントだったのは、キャストのバランスが悪かったことだと思う。
スター俳優はミラ・ジョヴォヴィッチだけで、当然ながら彼女を中心に映画は展開していく。そして、結局彼女自体がストーリーの“オチ”では、どうしたって驚きは薄まる。(かといってジョヴォヴィッチの存在感が強いかというとそうでもない……)
それぞれのキャストのレベルがフラットでなければ、この手の群像ミステリーは巧く機能しないと思う。
脚本自体には、確かに衝撃とそれに伴う深みがあったように感じる。けれども、それを映画として表現仕切れていない。
演出や映像感覚にもっと“巧さ”があれば、「衝撃」の確立と共に、映画として深化したと思う。
脚本家出身の監督だからこそ生じた、「脚本」と「映画」の間の“溝”を感じた。
終始ドキドキするしハラハラもする。しかし、その“方法”は粗く強引で、決してフェアではなかった。
「パーフェクト・ゲッタウェイ A Perfect Getaway」
2009年【米】
鑑賞環境:DVD
評価:5点
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