シリーズの順番を違えて、第三弾「代理戦争」を観た直後に、第二弾である今作を観た分、余計に特徴的な個々人の人間描写が鮮烈に印象に残った。
何と言っても配役が凄い。
シリーズの主人公である菅原文太演じる広能昌三を脇に配し、北大路欣也、梶芽衣子、千葉真一がそれぞれ濃すぎるほどの芝居を見せつけてくれる。
それぞれが決して魅力的なキャラクターというわけではないけれど、台詞を発する一つ一つの息づかいや、ぎらつくような目つきに、目が離せなくなる。
特に千葉真一演じる暴徒のキレっぷりは圧倒的だった。文字通り男の血と汗がたぎる映画世界の中にあって、梶芽衣子の色香も極上。
それにしても、深作欣二が生み出した同シリーズは、オリジナル全5作品がたった2年間の間に立て続けに公開されたことに驚く。
これほどまでに濃い映画を、これほどまでに濃いキャストをもってして連発した当時の日本映画界のエネルギーは、とても今の映画界の裁量でははかれないだろう。
つくづくあらゆる面において、「圧巻」の一言に尽きる映画だと思う。
「仁義なき戦い 広島死闘篇」
1973年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:8点
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