アンジェリーナ・ジョリーというハリウッド女優の魅力は、その美貌であり、その体躯の曲線美である。
それは彼女が、「17歳のカルテ」でアカデミー助演女優賞を受賞したれっきとしたアカデミー賞女優だということを踏まえても、揺るがない。
どんなにシリアスな映画に出演しようとも、そこで好演しようとも、彼女は“演技派”などではなく、唯一無二の“セクシー女優”だ。間違いない。
そんな女優が、コスチュームを目まぐるしく替えつつ、ハードアクションを繰り広げる女スパイを演じた時点で、この映画に致命的な失敗は生じるわけがない。
事実、面白い映画だったと思う。
この作品のトレーラーを見た限りでは、二重スパイ容疑をかけられた絶体絶命の主人公が、自身の疑いを晴らすために奔走するという「北北西に進路を取れ」的な展開が繰り広げられるのだろうと想像していた。
しかし、結構序盤から“想定外”な展開に突入し、驚くというよりも少々面食らってしまった。
正直なところ、ストーリー的には粗が目立つし、整合性に欠けている。
少しネタばれになってしまうが、キーマンとなるキャラクターの隠された存在性も容易に想像がついてしまう。
ストーリー的にも、映像的にも期待に対して「凡庸」という印象は拭えない。
ただし、繰り返しになるが、これがアンジェリーナ・ジョリーの映画である時点でハズレはない。
当初この映画はトム・クルーズ主演で企画が進行していたらしいが、金銭面で折り合いがつかず、アンジーへと脚本共々キャラクターの性転換を行ったそうだ。
たらればになるが、そのままトム・クルーズ主演で映画が完成していたなら、「ミッション:インポッシブルの二番煎じ」と酷評されていたことは、恐らく間違いない。
たぶんシリーズ化は既定路線だろう。
次回作は主演女優のパフォーマンスだけに頼らなくて済むようなクオリーティーの高いスパイ映画を期待したい。
(水面下ではトム・クルーズ&ベン・アフレック出演による“イヴリン・ソルト×イーサン・ハント×ジャック・ライアン”という企画もあるとかないとか……実現するのであれば、それぞれのハリウッドスターが、これ以上歳を重ねる前にやったほうが良いと、一映画ファンとして思う……)
「ソルト SALT」
2010年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:7点
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