劇中、ジュディ・デンチが言う。「映画には歌がなければ」と。そして、御年75歳の大女優が惜しげもなく歌って、踊る。このシーンがこの映画のハイライトというわけではないけれど、その様には映画というエンターテイメントが持つ本質的なエネルギーに溢れていて、彼女が言ったことは正しいと思える。
「シカゴ」のロブ・マーシャル監督が、アカデミー賞受賞俳優たちを豪華に揃えて描き出した渾身のミュージカル映画。それは、ミュージカル映画好きとしては、たまらなく魅力的なイントロデュースだった。
仕事を終えた週末、公開されたばかりの今作をレイトショーで観に行った。
名優ダニエル・デイ=ルイスが演じる主人公の映画監督が苦悩する様を取り囲むように、7人の女たちが入れ替わり立ち替わり現れては、彼の妄想の中で歌い踊り消えていく。
新作映画の制作を目前に控えて、アイデアが枯渇した映画監督の脆く弱々しい優柔不断な様を延々と描いていると言えばそれまでだが、繊細な男の悲哀と葛藤を、ミュージカルという形できちんと描き出していると思う。
主演のデイ=ルイスをはじめ、主要キャストが織りなすミュージカルシーンは、とても丹念に作られ魅力的だ。
ただし、残念だったのは、それらのシーンがあくまで「舞台」上でのミュージカルを撮影という手段で切り取ったという範疇を出なかったことだ。
今作は、ブロードウェイミュージカルの名作を映画化した作品であり、それならば映画化する必要はあまりなく、ブロードウェイのライブの迫力に勝ることは到底不可能だ。
映画化するのであれば、映像世界だからこそ出来るミュージカルの表現を追求してほしかった。
豪華女優陣の“競演”も、それぞれが単独で挑んだミュージカルシーンを付け合わせただけという印象にとどまり、映画としての一体感が無かったように思える。
ただそれでも、冒頭でも記している通り、豪華で実力者揃いのスターたちが歌って、踊る様には、圧倒的な力強さがあり、それだけで充分すぎるエンターテイメントであることは間違いない。
ハイライトは、ペネロペの過剰すぎるほどに妖艶なパフォーマンスと言いたいところだが、ノーマークだったケイト・ハドソンのミュージカルシーン。
今作自体のプロモーションにも表立って使用されている通り、ケイト・ハドソンの傲慢的な雰囲気と曲のテンションの高さが融合し、圧倒的に素晴らしいシーンに仕上がっていた。
「NINE」
2009年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:7点
コメント
豪華ミュージカル映画<NINE(ナイン)>
舞台はイタリア――。
天才映画監督のスランプ。
彼に夢中な女達。愛を選びきれない男。
彼が見つける9つめの愛とは?
世界は、男と女で出来ている。。。
見終わった後、踊りだしたくなる映画でした!
歌もまた、耳に残ります!とくに「CINEMA ITARIANO」!
<映像の魔術師>と呼ばれた監督のイタリア&フランス合作映画
【8 1/2(はっか にぶんのいち・Otto e mezzo 1963年)】を原作とする
ブロードウェイ・ミュージカル【Nine(ナイン1982年初演)】を、
さらに「シカゴ」のロブ・マーシャル監督が、
ハリウッドで映像化した映画。
こ?やって書くと、ややこしいですね???^^;
1人の天才映画監督と、彼を取り巻く女性たちの関係を、
豪華キャストによる圧巻のパフォーマンスで魅せる本格的ミュージカル映画です。
ヨーロッパ映画が原作だからか、ミュージカルだからか、
普通のハリウッドとは一線を画した構成。。。
みゅうみゅうはヨーロッパ映画が好きで、ミュージカルが好きなので、
このノリは、かなり好きなのですが、
分かりづらいとも言えなくない展開です^^;。。。
(しおさんは、途中寝てました・・・。)
でも^^みゅうみゅうは、ミュージカルを観に行った時のような、
心地いい充足感を感じるコトが出来ました。
ゴージャスで、艶やか、苦悩と混乱、そして復活。
その中心軸にあるのは、女性に対する夢と幻想と現実。。。
男の哀しさと可愛らしさも感じました。
ダメダメ男でもあるんですけどね???^^;。
キャストも凄い!
アカデミー賞受賞者勢揃いのキャストとスタッフですよ!
無駄に豪華!ってゆ?位。。。
こんなに豪華な出演者は見たコトありません!!!
【シカゴ(Chicago)】【S