悪が渦巻く犯罪都市、薄汚れた街を愛する不死身のヒーロー“ザ・スピリット”。
アメコミヒーローとしては、基本的にはよくある部類のパターンと言える。
が、そのマニアックさと作品世界全体から滲み出る“禍々しさ”が、非常に特異だ。
時に奇天烈過ぎて、許容範囲を超えてしまいそうにもなるが、ギリギリのところで引き込んでくる。
この映画の最大の見所は、ヒーローの活躍による爽快感でも、センセーショナルな映像世界でもない。
エヴァ・メンデスの完璧な曲線美、そしてスカーレット・ヨハンソンのコスチュームプレイ。この二つに尽きる!というかそれしかない。
と、言うと、非常に映画自体を卑下している印象だが、そうではない。
映画という物は、良いものになるほど、そのハイライトは明確に限られてくるものだと思う。
つまりこの映画の場合、二人の美女の艶かしい競演こそが、最大のハイライトであるということで、それが作品の価値を大いに高めているポイントだ。
同監督原作の「シン・シティ」や「300」ほどの完成度は無かったことは否めないが、決して万人受けはしないであろう奇抜な世界観を、見事にビジュアル化して見せていると思う。
「ザ・スピリット The Spirit」
2008年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:6点
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