「ウォッチメン」

2009☆Brand new Movies

 

アメリカン・コミック映画は好きである。
スーパーヒーローや悪役たちの独特の「大味」さや、良い意味での設定の大雑把さは、“クオリティー”という円周を一周して、物凄く完成された“文化”だと思う。

ただ、日本の「漫画」がそうであるように、「アメコミ」も踏み込めば踏み込むほど、“マニア趣向”になっていき、価値観は多岐に広がり、必ずしも万人受けする類いのものではなくなってくると思う。

そう、スーパーヒーローたちの「陰」を徹底的に描いた今作、その異質さは素晴らしいと言えるが、必ずしも面白くはない。

一言で言うと、あまりに「スマートでない」ということを感じた。

さらに平たく表現するならば、“スーパーヒーロー”という宿命を持った者たちの、心の闇と葛藤をベースに、ウジウジウジウジと悩み、崩れ落ちていく様を描いた映画だ。

詰まるところ、爽快感とは程遠く、3時間近い長尺が進むにつれ、観ている方もどんどん滅入ってくる。

先に言ったように、アメコミ映画の本流に反するその異質さは良いと思う。
「正義」と「平和」を体現するスーパーヒーローたちが、その本質に疑問符を持ち、迷い、堕ちる様など、崇高な哲学性をも備えるテーマだと思う。

ただし、その描き方があまりにクドい。
主体となるキャラクターがあやふやで、それぞれの俳優たちに華もないので、今ひとつ感情移入ができない。
そして、ウジウジ、クドクドと引っ張った挙げ句、それほど大した結論は得られない。

この無情さ、邪道さが好きな人もいると思うし、ほんの少し映画の作り方が違っていれば、大好きな映画になっていたかもしれない。
ただ現実としては、オープニングだけで充分な映画だった。

「ウォッチメン WATCHMEN」
2009年【米・英・カナダ】
鑑賞環境:映画館
評価:2点

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