「ワールド・オブ・ライズ」

2008☆Brand new Movies

 

中東を主舞台とした“対テロ戦争”における情報戦を描いた今作。
敵を欺き、ある時は味方さえも欺き、生と死の狭間での戦いは、決して安直な派手さはなく、その痛々しさのみが様々な側面で突き刺さる。

それは、この映画が今この瞬間も繰り広げられている「現実」の一側面を描いているからに他ならないと思う。

ディカプリオ演じる主人公が、自らの命をさらしながらも感じ続ける葛藤。
それは、“対テロ”の名の下に突き進めるこの「戦争」が、果たして正真正銘の「正義」なのかということに他ならない。

「異文化」への排除行為の先にあるものは決して「平和」などではなく、愚かしく、絶え間なく続く「報復」の螺旋である。
ということを、痛々しく見せつけてくる作品だった。

それにしても、リドリー・スコット監督作品は、「アメリカン・ギャングスター」に続き今年2本目である。
時間を空けず、これほどの骨太な大作映画を連発してくるこの巨匠のパワーに感嘆する。

「ワールド・オブ・ライズ Body of Lies」
2008年【米】
鑑賞環境:映画館
評価:7点

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