サスペンス映画好きのくせに、実はヒッチコック映画を観ていない。
過去に見た作品は、「サイコ」と「北北西に進路を取れ!」くらいである。
久しぶりに物凄く古い映画を観たくなって、70年前に製作された今作を手に取った。
特急列車の中で突如姿を消した中年女性。主人公は彼女の行方を同乗者に聞いてまわるが、誰もが「そんな女性はいなかった」と彼女の存在を認めない。
という「奇妙」から端を発し、コトの真相が、列車に乗り合わせた群像と人間心理の中で徐々に描き出されていく。
おや、どこかで観たことがあるストーリー展開だなと思えば、まるっきりジョディ・フォスターが主演した「フライトプラン」ではないか。
当然、「フライトプラン」の元ネタが今作というわけなのだろう。
とにもかくにも、70年も前に製作されたサスペンス映画が、今も変わらず映画としての“面白味”という輝きを放ち続けていることに、アルフレッド・ヒッチコックという映画史の巨人の言うまでもない巨大さを感じずにはいられない。
ただ単に、謎とそれに対する真相を追い求めるだけでなく、登場する人物の性格や、言動、心理描写に映画としての核心があり、そのことがこの作品が劣化しない最大の要因だと思う。
「バルカン超特急 The Lady Vanishes」
1938年【英】
鑑賞環境:DVD
評価:8点
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