この映画を10年前に観ていたなら、航空業界への就職を目指していたかもしれない。
国際線の機上と大空港の各部署で、それぞれに巻き起こるドラマ。
同監督の「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」のようなコメディ路線を想像していたけど、意外にもそれぞれのステージを丁寧に描いた小気味良い群像劇に仕上がっており、想像以上に感情がはまり込む映画だった。
主演の田辺誠一や綾瀬はるかが登場するシーンよりも、その他の登場人物たちのシーンに、より面白味があったことが映画の質の高さを物語っていると思う。
各部署における、それぞれの“シゴト”に対するプライドと真摯さがあってはじめて、一機の飛行機が飛ぶという群像の一体感が、この作品の最大の魅力だろう。
主要キャストから脇役まで、思わずほくそ笑んでしまう何気に“豪華”なキャスティングは、群像劇の精度を殊更に高めている。
“空の旅”にまつわる様々なハプニングとプロフェッショナルを、それぞれのキャストが愛着をもって演じることで、各シーンが愛すべき光を放っていると思う。
過剰なコメディ演出は控えた、ほどよい笑い、ほどよい緊張、ほどよい感動。
そこから紡ぎ出されたものは、まさに“ハッピー”なフライトだった。
「ハッピーフライト」
2008年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:8点
コメント