「アイム・ノット・ゼア」

2008☆Brand new Movies

 

ボブ・ディランというアメリカを、現代を、代表するアーティストの様々な存在性を、人種、性別を越えた6人の俳優が演じるという、奇抜な伝記的映画だった。

正直、ボブ・ディラン自体のことをよく知っているか、知っていないかでは、この映画の“面白味”には大いに差が生じるだろうと思う。
かく言う自分も、色々な映画や漫画などで彼の名前を認知している程度に過ぎず、どれほどこの作品の真髄を捉えられたかというと、首を傾げるしかない。

しかし、それでも巧みな演出と6人の俳優たちの個性的な表現力、そして全編に流れるボブ・ディランの楽曲によって、生ける伝説である希代のアーティストの類い稀な存在性は、大いに感じることができたと思う。

まあ何と言っても、ケイト・ブランシェットが凄い。
女優が、実在する男性を演じるなど、それは流石に無理があるんじゃないかと思っていたが、その表現力は圧倒的だったと思う。
実際、ボブ・ディランの言動を見聞きした経験はないが、ブランシェットが全身から発する繊細さと危うさは、まさに彼のそれなのだろうと疑わなかった。
同じくより現実に近いボブ・ディランを演じたヒース・レジャーとケイト・ブランシェットの目つきや佇まいが、根幹的な部分で同じだったことも驚いた。

これから、ボブ・ディランのことを少しずつ知っていこうと思う。

「アイム・ノット・ゼア I’m Not There.」
2007年【米・独】
鑑賞環境:DVD
評価:6点

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