「犬神家の一族(2006)」

2006☆Brand new Movies

 

映画監督・市川崑、91歳。

はっきり言って、ただそれだけで、日本の映画界における至宝であり、伝説である。
その大々巨匠が、再びメガフォンをとる(この言い方ももはや年季を感じる)。しかも撮るのは「犬神家の一族」、主演は30年前と同じ石坂浩二、否が応にも驚きと期待が膨らむというもの。

実際、映画の内容がどうであれ、齢90を越える“生ける伝説”が撮る映画である。それがすべてだと思わざるを得ない。
そうして生み出された稀代のリメイクは、30年前のそれと同じく、衰えを全く感じさせない日本のミステリーの礎とも言える物語の見事な“再現”だったと思う。

ストーリー構成、キャラクター造形、シーン設定などそのほとんどが30年前のそれと、ほぼ狂いなく描き出されていることは、新しさには欠け、物語としての驚きはあまりない。

が、それでも観客を引き付けるのが、この物語の魅力であり、描き出した市川崑という映画人の絶対的な“力量”だと思う。

……しかし。
そうは言っても、同じ監督、同じ主演俳優、同じ演出で、同じ映画を再び撮るということに、どれほどの「意味」があるのか。
その点に関しては、正直疑問は残る。

「犬神家の一族(2006)」
2006年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:7点

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