昨今すっかり“常識化”し珍しくもなくなった「人気漫画の映画化」。
ベストセラー小説の映画化と同様、いかなる場合も、そこには大いなる「困難」がつきまとう。
漫画作品が漫画として完成している傑作であるほど、それは肥大する。
そして今作「DEATH NOTE」。漫画の映画化の中でも、「少年漫画」の映画化(実写化)というものの難しさは、その最たるものであると思う。
「常識」を超越した領域で展開されることが多い少年漫画は、実写化において“リアリティ”の壁が大きく立ちはだかる。
今作はジャンル的な大別では「サスペンス」であるが、核となる要素が「死神のノート」である以上、当然ながら例外ではないだろう。
前置きが長くなったが、率直な感想としては、あらゆる面において「こんなものだろう」というところ。
映画化ならではのオリジナルストーリーが絡み、一瞬本来のキャラクター像が大きく崩されそうになるが、結局はしっかりと原作のキャラクター像に迫れたことは良かったと思う。
ただやはり、少年漫画の映画化においては、映像的な表現以上にストーリーの設定的な部分において表現の難しさがあるようだ。確かに、漫画上では許されるが、実写となるとリアリティが失われるという部分が、この作品の場合多々あると思う。
その他映画的なディティールの部分で雑だったり、ストーリー自体がある意味“ぶっ飛んで”いるわけだから、もっと映像的にコントラストをつければ良いのにというような注文は確かにある。が、これが困難つきまとう「漫画の映画化」であるということを考えれば、やはり「こんなものだろう」という印象に行き着く。
大きな懸念の一つであった“死神リューク”のCG描写についても、中村獅童のアフレコ(ベストマッチ)も手伝って、思っていたよりは悪くはなかった。
まあ、最大の問題はこれからで、「“後編”でどう締めるのか」ということに尽きる。その出来次第で、この“前編”の印象も大きく変化するだろう。
「DEATH NOTE デスノート 前編」
2006年【日】
鑑賞環境:映画館
評価:6点
コメント