TKLスバラシネマ+映画特集企画 vol.1 『愛すべき“モンスタームービー”特集』
超大作からB級作品まで“愛すべき”モンスター映画厳選10本を揃えてみました。
※TK的「モンスタームービー」の希望的定義(当てはまらなくても、まあいい)。
①あらゆる意味において“規格外”な生物(生命体)が、人間を問答無用に襲うパニックを描く。
②主人公が最低1回、危機的状況下でジョークを交えた台詞を言う。(基本的に映画のテンションが暗くなってはならない)
③基本的にB級映画テイストであることが好ましい。しかし、クオリティが低くて良いということではない。
④主人公やヒロインとは別に、できれば死んでほしくない気のいいキャラクターがいる。
⑤ラストカットで続編の予感を残すこと。(続編があろうがなかろうが)
「アナコンダ ANACONDA」
モンスタームービー的評価:7点
1997年[米・ブラジル・ペルー]
監督:ルイス・ロッサ
出演:ジェニファー・ロペス アイス・キューブ ジョン・ヴォイト
良い意味で“ベタ”なモンスタームービーの代表格。ジャングルの奥地に入り込んだ人間たちを超巨大大蛇(重複?)が襲い掛かる。
あまりによくあるプロットなので、B級とC級の間を右往左往しそうだが、この映画の場合それは意外に贅沢なキャスト陣に救われている。まだそれほど(良い意味でも悪い意味でも)大スターではなかったジェニファー・ロペスが主役を張り、エリック・ストルツやオーウェン・ウィルソンなどの実力者が脇を固め、悪役を名優ジョン・ヴォイトが務めている。ジョン・ヴォイトの最期のシーンは見事だ。
「遊星からの物体X THE THING」
モンスタームービー的評価:6点
1982年[米]
監督:ジョン・カーペンター
原作:ジョン・W・キャンベル・Jr
出演:カート・ラッセル ドナルド・モファット
南極観測隊の一団を、正体不明の“物体X”が襲う。実質的に密閉状態の氷の世界で、正体を見せないモノに襲われる恐怖感とサスペンス感が物凄い。
間違いなく傑作ではある。ただ、“正体がない”ということが“モンスタームービー”的には、マイナス点にせざるを得ない。
「スパイダー・パニック! EIGHT LEGGED FREAKS」
モンスタームービー的評価:7点
2002年[米]
監督・原作・脚本:エロリー・エルカイェム
製作:ディーン・デブリン
製作総指揮:ローランド・エメリッヒ
出演:デヴィッド・アークエット スカーレット・ヨハンソン
廃棄物で巨大化した大量の蜘蛛たちが、街を襲う。もはや「恐怖」というよりも「笑い」を追及しているんじゃないかと思えるようなシーンもちょこちょこあるが、それこそが“モンスタームービー”において欠かせない部分でもあり、王道的とも言える。
低予算映画なので、映像のクオリティとしては低いが、製作がローランド・エメリッヒ&ディーン・デブリンのコンビなので、全体的にソツなく仕上がっている。
今やハリウッドNo.1の若手実力派女優のスカーレット・ヨハンソンが出演している点も見逃せない。

「JAWS/ジョーズ JAWS」
モンスタームービー的評価:8点
1975年[米]
監督:スティーブン・スピルバーグ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ロイ・シャイダー リチャード・ドレイファス
ご存知「ジョーズ」。若きスピルバーグが生み出したこの「傑作」が残したものは、映画史に残る類まれな“恐怖感”だ。有名すぎる音楽と共に、効果的な映像によって映し出される巨大鮫の恐怖は、今なお斬新である。
ただリアルに怖すぎる分、モンスタームービー的評価(独断)としては、若干落ちてしまう。この映画の場合、その「恐怖」はもはや「ホラー」に近い。
「エイリアン ALIEN」
モンスタームービー的評価:8点
1979年[米]
監督:リドリー・スコット
脚本:ダン・オバノン
出演:シガニー・ウィーバー トム・スケリット
映画史に残る“最強モンスター”を生み出したこの作品の、「価値」と「恐怖」は物凄い。
特にシリーズPART1である今作は、新たなモンスターの「未知性」と、舞台となる宇宙船内の絶対的な「密閉感」が、殊更に「恐怖」を助長する。
ただこの作品も、「ジョーズ」と同様、映画作品としてクオリティがあまりにも高いので、リアルに怖すぎる。“モンスタームービー”的にはマイナス点だ。
「GODZILLA ゴジラ GODZILLA」
モンスタームービー的評価:9点
1998年[米]
監督・脚本・製作総指揮:ローランド・エメリッヒ
原作・脚本・製作:ディーン・デブリン
出演:マシュー・ブロデリック ジャン・レノ ハンク・アザリア
賛否両論が激しかった超大作アメリカ版「ゴジラ」。日本の“ゴジラ”に対するビジュアルの違いに多大な批判が集中したが、その批判は間違いである。なぜなら、この映画に出てくる怪物は端から「まるでゴジラのような巨大モンスター」だからだ(襲われた漁船の日本人が「ゴジラ…」と呟いたにすぎない)。
即ち、“ゴジラのような”怪物が暴れまわる“規模の大きいモンスタームービー”なのである。
そして、いかにもアメリカ映画的なパニックアクションを撮らせた場合、「インデペンデンス・デイ」を撮ったローランド・エメリッヒ&ディーン・デブリンのコンビの右に出るものはいない。
個人的には、未だ続編がない事が不思議ですらある。
「ディープ・ブルー DEEP BLUE SEA」
モンスタームービー的評価:9点
1999年[米]
監督:レニー・ハーリン
出演:トーマス・ジェーン サフロン・バオーズ LL・クール・J サミュエル・L・ジャクソン
『サメのモンスタームービー』として絞るなら、今作は名作「JAWS/ジョーズ」をも凌ぐ。
生物実験によってつくり出されたマンガのように巨大で利口なサメ自体の性質とビジュアルもスゴイが、この映画の場合特筆すべきは、「生き残りについての固定観念が通用しない」ということだ。一般的なモンスター映画ならば、誰が死んで誰が生き残るということはなんとなく分かるものだが、今作は誰がどの順番で死に、誰が生き残るという予想が立たない。というか絶対にハズれる。
そういう脚本の段階での豪快さというか破天荒さが、いかにもモンスタームービー的なノリで大変良い。
「ザ・グリード DEEP RISING」
モンスタームービー的評価:9点
1998年[米]
監督・脚本:スティーヴン・ソマーズ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:トリート・ウィリアムズ ファムケ・ヤンセン ジェイソン・フレミング
タコのようなイカのような長く凶暴な触手を持った巨大怪物が、豪華客船を“丸ごと”襲い、食い散らかす。
襲い方やモンスターのビジュアルがグロテスクすぎて逆に恐怖感が無い。だが、そのことが尚更に良質なモンスター映画度を高める。王道的ですらあるストーリー展開のライトさも素晴らしい。
極めつけは、もはや意味不明なほどに強引な続編への「予感」。だが、続編は未だ無い。
「ジュラシック・パークⅢ JURASSIC PARK 3」
モンスタームービー的評価:9点
2001年[米]
監督:ジョー・ジョンストン
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
原作:マイケル・クライトン
出演:サム・ニール ウィリアム・H・メイシー ティア・レオーニ
映画としての“質”と“価値”を評価するなら、PART1である「ジュラシック・パーク」には間違いなくとても及ばない。しかし、“モンスタームービー”と捉えるならこのPART3が群を抜いている。PART2「ロスト・ワールド」で少々オーバーヒート気味だったシリーズのテンションを一新し、開き直って“B級モンスタームービー”テイストに仕上げた製作陣の勇気が素晴らしい。特撮技術等のレベルはそのまま受け継いでいるので、非常にクオリティの高いモンスタームービーに昇華されている。
「トレマーズ TREMORS」
モンスタームービー的評価:10点
1989年[米]
監督:ロン・アンダーウッド
原作・脚本・製作:S・S・ウィルソン ブレント・マドック
出演:ケビン・ベーコン フレッド・ウォード マイケル・グロス
音をたよりに地中を動き回る謎の生物“グラボイス”が、陸地の孤島と化した荒涼地帯で住民を襲う。
これこそ、“ザ・キング・オブ・モンスタームービー”の肩書きが揺るがない傑作中の大傑作。映画史上最高の“B級映画”と言っても過言ではない。そう“モンスタームービー”において重要なのは、「クオリティの高いB級さ(矛盾!)」なのだ。
地中生物らしく不細工で酷い臭いを放つくせに、知能は意外に高く、襲われる住民たちと一種の“知能戦”を繰り広げる展開がオリジナリティに溢れ、秀逸。
後に出たシリーズ作(現在PART4まで)も、今作には及ばないが、どれも“モンスタームービー”のツボを押さえた良質のB級映画揃い。
とにかく見るべし!!!
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