<<ネタバレアリ>>
ジャンルに関わらず、ある程度映画を見慣れている人ならば、この映画が隠している要素はわりと容易に感づく事ができるだろう。
そいう点では、この手の映画としては、この作品は見せ方があまり巧くはない。
それは全体的な映画の画づくりにも言えて、全編通して稚拙な部分は見受けられる。
しかしこのストーリーには、この手のサイコサスペンスにおけるオリジナリティが確実にあり、見応えがあると思う。
それは、物語として、様々な要素が巧みに絡み合っているからだと思う。
すなわち、「犯人さがし」のサスペンスと、「ハサミ男」という多重人格のサイコパスと、主人公と「ハサミ男」とのドラマ…という多面的な要素が、「ハサミ男」という確固たる軸に絡み合い、ストーリーを紡いでいるのだ。
原作は未読だが、この複雑なストーリー構成をどう文章で表現しているのか、とても興味深い。
主演二人の配役も非常に良く、豊川悦司・麻生久美子の両人は、これ以上ない適役で素晴らしかった。
ただやはり、クライマックス後のエピローグがクドクドと長々しかったり、どうも脇役の演出が大雑把な感が拭えなかったりと、画づくりのことに加えて、映画としての未熟さは目立つ。
ストーリーが魅力的な分、殊更に惜しい。
「ハサミ男」
2004年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:7点
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