すっかり現代人なので、手紙なんてとんと書かない。
そんな僕が、相当久しぶりにある手紙を書いたこの日に、この映画を観る機会を得たのも、何かの巡り合わせであろう。
「手紙」には、不思議なチカラがあると思う。たいせつな気持ちを綴った文章には、言葉以上の感情が備わると思う。
そして、手紙は、時間と場所を越えて、想いを伝えるべき人の元でとどまり続ける。
タイトルから、この映画で描かれる物語は冒頭でなんとなく予想できると思う。そして、その予想の通りに、この映画は終わるだろう。
ただ、だからと言って、この映画には何の問題もない。
沖縄の小さな島の空の下、東京の喧騒の空の下で繰り広げられる“母親からの手紙”に溢れる感情に、包み込まれる。
幼い頃に離れ離れになった母親からの一年に一度の手紙に心揺らされながら、少女から大人へと成長していく様を、飾りのない感情いっぱいに表現してみせた蒼井優が素晴らしい。
一通一通に託された母親の一人娘に対する愛情は、どこまでも深く、どこまでもあたたかい。
きっと、ほんとうに伝えたい想いを、誰かに伝えたくなるだろう。
「ニライカナイからの手紙」
2005年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:7点
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