「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」<8点>

2015☆Brand new Movies

 

マーベルの“大祭・第二弾”。
3年前の大祭・第一弾が、奇跡的な大成功を収めただけに、この続編へのハードルは残酷なまでに高まっていたと思う。
これ程までに濃ゆいメンツを一つの映画作品に詰め込むことだけでも、その苦労は半端ないものである筈で、そこに続編ならではの難しさも加わり、大き過ぎる期待の反面、クオリティーの低下を覚悟していた部分はあった。
が、何の事はない。高すぎるハードルを華麗に越え、エンターテイメント超大作としてきっちりと仕上げている。見事だ。

「アイアンマン3」、「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の流れを汲み、描き出されるストーリーは、決して終始高揚感溢れるものではなく、時に陰鬱で破滅的ですらある。
アベンジャーズを構成するヒーローそれぞれの心の闇と葛藤が浮き彫りにされるストーリー展開は、映し出されるアクションシーンが派手になればなるほど、彼らを包む渇いた空気感を際立たせるようだった。

この“苦い”味わい深さは、この“大祭”に至るまでの各作品を観ていなければ到底理解できるものではなく、そういう意味では完全に“一見さんお断り”映画であることは間違いないだろう。

ただし、そういった苦味の中でも、アメコミヒーロー映画の究極として、アゲるべきところはしっかりとアゲてくる。
各ヒーローの弱みを露わにするからこそ、それぞれの見せ場も存分に見せてくれる。
そして、彼らが“アベンジャーズ”として「結束」することによる無敵ぶりをきちんと映画のピークに合わせてくる。

そして、今回キャラクターとして特筆すべきは、アイアンマンでもキャプテンアメリカでもハルクでもなく、まさかの“ホークアイ”だろう。
生身の人間であるこのキャラクターは、超人的な能力を誇る他のメンバーに対して明らかに浮いていた。
スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウはまだ紅一点という明瞭な存在意義があったが、ジェレミー・レナー演じるホークアイは、あまりに存在感が薄かったと言える。
が、今作においては、極めて重要な存在感を見せてくれる。

ロボットの軍勢が襲いかかり入り乱れる非人間的な戦闘の中で、「俺の武器は弓、笑えるだろ?」と自嘲するホークアイ。
それでも一歩戦いの場に踏み出れば、彼はアベンジャーズとして信念を持ってひたすらに弓を引き続ける。
その様は最高に格好良い。
そのホークアイの姿にこそ、アベンジャーズの真価が表れていたと思う。
ジェレミー・レナーという一流俳優がこの地味な脇役を担い続けた意味がようやく結実している。

さて、大きければ大きいほど祭りのあとはいつも寂しい。
ハルクは南の海に去り、ホークアイは家族の元へ帰ってしまった。トニー・スタークとソーは戻ってくるだろうか。
祭りのあとの空虚感を携えつつ、エンドロールを見送った。
そして、「アベンジャーズは帰ってくる」というお決まりのテロップをしっかりと確認し、少し安心して映画館を後にした。

 

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン The Avengers: Age of Ultron」
2015年【米】
鑑賞環境:映画館(字幕)
評価:8点

予告編

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