「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」“SNS時代ならではの掘り出し物映画”

2024☆Brand new Movies

評価:  8点

Story

実業家のドリアは、殺人容疑で起訴されていた。ある夜、凄腕弁護人のグッドマンが訪ねてくる。3時間後には法廷で審理が開始される。それまでに反証の準備をしなければならない2人は、事件の再検証を開始する…。ドリアは不倫相手のローラと密会中に、事故でダニエルという青年を死なせてしまう。死体を湖に沈め、事故を隠ぺい。だがダニエルの父親はドリアを疑い、執拗につきまとう。彼らは 山奥のホテルに誘い出され、密室でローラが何者かに殺された…。状況証拠は絶対不利。それでもグッドマンは、ドリアを無罪に出来ると 言うが…。 Filmarksより

 

Review

密室劇+回想劇によるスペイン産ミステリー。
観客をミスリードする数々の要素や仕掛けが多分に盛り込まれ、ストーリー展開以上に、登場人物たちの印象が二転三転とひっくり返る興味深いサスペンス映画だった。
SNSのショート動画で紹介されていた情報を見て、ほぼ衝動的に鑑賞に至ったが、“掘り出し物”としての満足感も非常に高い作品だったと思う。

事件にまつわる人物たちの「証言」によって、事の真相が転じていくというストーリーテリングは、古くは黒澤明の「羅生門」から始まり、その映画タイトルから取って、「羅生門スタイル」とカテゴライズされたりもするが、本作も大枠で捉えればその範疇のストーリーだろう。
ただ本作の場合は、「証言」を行うのが、ある殺人事件の罪を問われている若手実業家一人に集約され、彼の発言とその行動が徐々に詳らかにされていくにつれて、映画冒頭の「印象」とは一転する趣向が新鮮だった。

本作があまり馴染みのないスペイン映画であり、出演する俳優たちの知名度も個人的に皆無だったことも、つくり手が意図するミスリードにまんまとハマっていく要因となり、功を奏していたと思う。
無論、鑑賞後にあれやこれやと突き詰めれば、無理筋だったり、道理が通らない要素も見えてくるけれど、ミステリーとしての整合性は保たれており、秋の夜長に楽しむには充分だったと思える。

スペイン人監督オリオル・パウロの作品は初鑑賞だったが、無駄のない画づくりで卓越したビジュアルをクリエイティブしていた。本作も含め、脚本創作も手掛ける注目すべき映画人だと思えた。他の作品もぜひ鑑賞してみようと思う。

日々SNS動画を見ていると、映画の内容を要約したり、ネタバレする情報も流れてきて慌てて飛ばさなければならないことも多々あるけれど、こういう隠れた良作の情報得られる機会も多いので、一長一短だなと思う。

 

Information

タイトル インビジブル・ゲスト 悪魔の証明 CONTRATIEMPO THE INVISIBLE GUEST
製作年 2017年
製作国 スペイン
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 インターネット(字幕・U-NEXT)
評価 8点

 

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