まるで秀逸な舞台劇のように対峙する俳優たちの演技で展開されるこのサスペンスは、暗くて深い湖の底のような場所へ観客を誘う。
“辛辣”という言葉だけでは覆うことができない“混沌”と“闇”にまみれた世界が映し出される。
これは映画である。が、事実でなかろうと、実際にこんなことが起きいても、いなくても、人間が想像し得る以上、これは現実に起こり得る“ケース”であると思う。だからこそ、映画においても答えは出ない。
主人公の男がそうであるように、現代の多くの人間が、眩い光を直視できないのかもしれない。
では僕は、直視できないこの殺人事件に対し、その背けた目線を何処に向ければいいのだろうか。
これは映画で、描かれる物語は当然事実ではない。が、人間が想像し作り出す以上、それは現実に起こり得る“ケース”なのかもしれない。
「レイクサイド マーダーケース」
2004年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:7点
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