子どものころから、ふとした瞬間に、「自分」という人間自体をまるで俯瞰しているような、客観視しているような、不思議な感覚に陥ることがあった。
身体自体はそれまでの動きを継続していて、意識もあるにはあるのだけれど、それを動かしているのが自分自身ではない“誰か”になるような感覚。
それは別に特別なことではないらしく、医学的に言えば「離人感」というらしい。
強い疲労感や、心身への虐待を受けた際にも生じることがある一種の精神障害らしいが、個人的には、“それ”が生じている短い時間が特に苦痛というわけでもなく、むしろ浮遊感に心地よさをかんじるときもある。
まあそれも一つの精神的な「逃避」と言ってしまえばたしかにそうで、いろいろと考えすぎている時に起きているようにも思う。
これまでも、家族だとか、友人に対して、そういう現象が起こることがあるということを何度か話したことはあったとは思うけれど、共感されたり、同じ経験を共有した記憶はなかった。
ところが、今日、娘がまったく同じ現象を小さい頃から感じていたということを知る。
感受性が豊かな部分や、ある部分での気持ちの脆さなど、自分の精神構造と似ているなあと思うことはよくある娘だが、初めて“それ”を共有できたのが、我が娘であるという事実に、驚きや嬉しさや一抹の不安が入り交じる感慨深さを覚えた。
願わくば、あまり思い悩むことなく、時々生じる“それ”を自分の気持の一部として、受け入れ、楽しんでほしい。
コメント