「ウィッシュ」 “ご都合主義で閉じ込められる歌ウマイケオジ悪王が少々不憫”

スバラシネマReview

 

評価:  6点

Story

どんな願いも叶うと言われる魔法の王国ロサスでは、国民は偉大な魔法使いであるマグニフィコ王に願いを捧げ、いつか王様が魔法で自分の願いを叶えてくれることを信じて暮らしていた。 しかし、アーシャは、人々に慕われているマグニフィコ王が、実はみんなの願いを閉じ込め支配しているという王国の真実をひとり知ってしまう。 思いもしなかった真実を知ってしまったアーシャが夜空に向け「どうかお願い」と強く願ったとき、彼女のもとに降りてきたのは願い星<スター>だった。 スターや相棒の子ヤギ・バレンティノ、そして仲間たちと共に皆の願いを取り戻そうとするが、みんなの“願い“を破壊しながら、その願いの力で魔法の力をさらに増していく、ディズニー史上最恐のヴィランとなるマグニフィコ王がアーシャの前に立ちはだかる―― 。 Filmarksより

「ウィッシュ」日本版本予告解禁!|アーシャ役 日本版声優の生田絵梨花さんが歌う劇中歌「ウィッシュ~この願い~」が聴ける|12月15日(金)劇場公開
2023年、ウォルト・ディズニー・カンパニーが創立100周年を迎え、その記念作となるアニメーション最新作が、この『ウィッシュ』。長きにわたりディズニー作品が描き続けてきた“願いの力”を真正面からテーマとして描く、100年の歴史の集大成とも言うべき作品である。これまで、『白雪姫』、『ピノキオ』、『シンデレラ』など、...

 

Review

「普通」に面白いファンタジー映画だが、ディズニー映画における「普通」は、やはりどうしても“不満足”に寄ってしまうことは否めない。
「100周年記念作品」ということで、新たな時代の節目を迎えた巨大帝国ディズニーの新しい挑戦を感じたかったけれど、ベクトルはむしろ逆方向に向けられており、時にあからさま過ぎるほどに懐古主義的な作品だったなと思う。

特別な才能を持っているわけではないヒロインが、魔法を操る国王の悪政に反旗を翻すというプロット自体は、極めてオーソドックスではあるが、100年という歴史を踏まえたディズニーの最新作として相応しかったと思う。
人々の“願い”を取り戻すという物語のテーマや、歌い踊る動物たちの描写、ヴィランとして立ち回る国王の存在感など、ディズニー映画の王道を踏まえたストーリーテリングそのものは、過去の名作のあらゆる要素を彷彿とさせ、ディズニーという文脈の豊潤さを醸し出していたと言える。
しかし、そこから紡ぎ出されるストーリー上の“発見”や、物語の“終着点”までもが、あまりにもこの100年の間に使い古されたものであり、新作映画としてエキサイティングだとは到底言い難かった。

ヒロインの言動の起因となる要素や、彼女に与えられた力の意味、その結果としてもたらされる人々への影響が、なんだかとても曖昧で都合よく見えてしまったことが、本作全体の希薄さに繋がっているのだと思う。
なぜ彼女の願いが“星”に届いたのか、どうして魔法を使えない彼女の歌声が人々の力を引き出せたのか、そしてこの国の人々が得た功罪の本質は何だったのか。

無論それらのことを物語上で引き出すことは極めて難しいことだけれど、これが100年という長き歴史を重ねたディズニー映画の最新作というのであれば、そういう困難なテーマこそをさらりと描き出してほしかった。
ヒロインの父親の生き様や死の真相だったり、祖父が“願い”を取り戻すことでもたらせる影響や、ヒロインとの友人たちがそれぞれ何かしらの“ハンデ”を負っていることに対するストーリー的な意図など、もっと物語を深掘りし得る要素はいくらでも存在していたと思う。

また、本作の魔法使いの国王は、闇落ちした悪役として描かれているが、彼には彼なりの信念とその発端となるトラウマが確実に存在していたわけで、それらをどこかないがしろにしたまま、ヒロインの歌声で倒して、閉じ込めて終わりというのは、少々乱暴すぎると思えた。
信念ということのみを捉えれば、ヒロインよりも国王のそれの方がよっぽど強く確固たるものだったと思えるし、ここぞとばかりに手のひら返しで夫を裏切る王妃の言動にも腑に落ちない思いが募った。
吹替版で観たのだが、福山雅治が演じる歌ウマ国王が最終的には少し不憫に思えてしまった。本作と同じ制作チームが生み出した「アナと雪の女王」も一作目で表現しきれていなかった要素を、PART2で深く描きこんだ経緯があるので、もし続編が作られたりするのであれば、ぜひ諸々の不満要素を解消してほしいものだ。

「100周年」という記念行事的なプロジェクトの意向が強く出過ぎており、単体作品としてのクオリティを追求しきれていないという印象を終始感じた。
……であるにも関わらず、100年間のスターたちが勢ぞろいする本編前のショートムービーを見せるだけで、「あ、やっぱり“Disney+”契約したい!」とアラフォー男に強く思わせるこの大帝国の絶対的圧力はやはり恐ろしい。

 

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Information

タイトルウィッシュ WISH
製作年2023年
製作国アメリカ
監督
脚本
撮影
声の出演(日本語)
鑑賞環境映画館(日本語吹き替え版)
評価6点

 

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画像引用:https://variety.com/2023/film/box-office/disney-bleak-box-office-streak-wish-the-marvels-1235809251/

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