スバラシネマex「らんまん」“夫婦ふたり、一歩一歩踏みしめた地べたから今日も新しい種が芽吹く”

スバラシネマReview

評価:  10点

Story

高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。 好きなもののため、夢のため、一途に情熱的に突き進んでいく! 春らんまんの明治の世を舞台に、植物学者・槙野万太郎の大冒険をお届けします!! その喜びと発見に満ちた生命力あふれる人生を、美しい草花の情景とともに描き、日本の朝に癒しと感動のひとときをお届けします。 時代は幕末から明治、そして激動の大正・昭和へ ― そんな混乱の時代の渦中で、愛する植物のために一途に情熱的に突き進んだ主人公・槙野万太郎(神木隆之介)と その妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。 公式サイトより

 

Review

「らんまん」というドラマタイトルが表す通り、豊潤に咲く花や草の魅力に取りつかれた天真爛漫な主人公を描いたドラマではあったけれど、主人公・牧野万太郎の辿った人生は、必ずしも幸福や幸運のみに彩られたものではなかった。
幕末から明治、大正、昭和へと、移り変わる時代と人と価値観の中で、彼は時に厳しい現実と、悲しい運命に晒され続ける。信念と努力、植物学に対する献身を貫き通しながらも、人生の大半においてそれに見合った評価を得られることなく、貧乏長屋で暮らし続けた彼の人生は、はたから見れば不遇そのものだったかもしれない。

だけれども、彼はただの一度も、己の人生を呪ったり、他者に対して恨み節を吐露することは無かった。
どこまでいってもひたすらに草花を愛で続け、支えてくれる家族や友人、出会った人間みなへの感謝を忘れることはなかった。そして、何よりも、それを全うできる自分自身の人生を祝福していた。
その生き方、その人生観は、時代や境遇や立場に関係なく、この浮世に生きるすべての人間にとって、倣うべき姿に思えた。

そして、このドラマにおいて、植物学者の主人公以上に輝くような存在感を放ったのは、彼の最愛の妻・寿恵子だった。
当然のごとく、男女の立場が平等ではない時代において、機会を“待つ”のではなく、自らの明確な意思で選択し、夫に寄り添い、支え、導き続けた“寿恵ちゃん”は、魅力的でひたすらに格好良かった。彼女自身の趣向を踏まえて形容するならば、まさに“尊い”という一言に尽きる。
(最終回を終えた今現在はもちろん、最終週の段階からすでに“らんまんロス”以上に、“寿恵ちゃんロス”は必至だった。)

神木隆之介演じる主人公像は素晴らしかったと思う。実在の植物学者・牧野富太郎をモデルとし、彼の人物像と功績をなぞりつつも、ドラマの主人公として独創的で魅力的なキャラクターを体現しきっていた。
そしてその主人公のキャラクターを文字通り包み込むようにヒロインとしての存在感を高めた妻・寿恵子を演じた浜辺美波が本当に素晴らしかった。
この二人が演じ紡いだエモーショナルな夫婦像が、この朝ドラの核心であり、宝物のような煌めきを最後まで見せてくれたと思う。

無論覚悟はしていたが、最終回は、朝から大号泣だった。嗚咽を漏らして泣いたのは一体いつぶりだったろうか。
喜びも苦しみも等しく訪れた人生を、夫婦ふたり一歩一歩踏みしめるように進み、慈愛を積み重ねていった“ふたりの終着点”に涙が止まらなかった。
ふたりが踏みしめたその広い広い“地べた”からは、時代を超えて、新しい種が芽吹き花を咲かせ続けているのだろう。

「この花の名前が知りたい」と、母を亡くしたばかりの少年は心に刻み、ただその一念を貫き通して人生を繰り広げる。
主人公と、彼を愛して、彼を支えた人たちの人生と、生きた時代は、決して安閑とした日々ばかりではなかったけれど、その様々な生き様はどれも勇敢で、愛おしい強さに溢れていた。
自分が好きなものを「好き」と言い続けることの尊さと、意義深さに、心が高鳴り、奮え続けた半年間だった。
あまりにも素晴らしい“朝ドラ”だったと思う。

 

Information

タイトルらんまん
製作年(放映期間)2023/04/03 ~ 2023/09/29
製作国日本
演出
脚本
撮影
出演
鑑賞環境TV(地上波)
評価10点

 

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画像引用:https://mainichi.jp/articles/20230922/spp/000/006/018000c

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